10年以上働いてきて、結局『人を動かす』に戻ってくる理由
僕の仕事の仕方や、人との関わり方を変えた本があります。
D・カーネギーの『人を動かす』です。
読んだのはもう10年以上前です。
誰かに勧められて、なんとなく読んでみたのが最初でした。
正直、最初は少し読みづらいとも感じました。
英語から翻訳された本ということもあって、出てくるエピソードや人物関係が、自分の日常には少しイメージしづらかったからです。
それでも読み進めるうちに、
「自分は、人と関わるときにずいぶん間違ったことをしてきたな」
と思うようになりました。
昔の僕は、正しいことを言えば人は動くと思っていた
若い頃の僕は、仕事で対立軸になりがちな人間でした。
自分が正しいと思うことがある。
だったら、それをきちんと説明すれば相手も理解するはずだ。
そう思っていました。
でも、現実はそんなに単純ではありません。
正しいことを言っているのに、人が動かない。
むしろ反発される。
こちらとしては、
「なぜ分からないんだ」
と思う。
でも相手からすれば、
「なぜ自分の話を聞かないんだ」
と思っていたのかもしれません。
『人を動かす』を読んで、僕はこの部分をかなり反省しました。
人は、自分が重要だと思っている
この本を読んで一番強く残った考えの一つが、
人はみんな、自分自身を重要な存在だと思っている
ということです。
だから、人と話すときには、まずその人の重要感を尊重する。
話を聞く。
共感する。
相手が言ったことを、自分なりにもう一度返してみる。
「あなたはこう考えているんですね」
ということを、きちんと相手に伝える。
それだけで、会話の空気はかなり変わります。
これは相手に媚びるという話ではありません。
むしろ、自分の目的を達成するために必要なことだと思っています。
自分が勝つことより、目的を達成すること
仕事をしていると、議論になることがあります。
そのときに、
自分が正しいと証明すること
と、
仕事として目的を達成すること
は、必ずしも同じではありません。
ここはかなり大事だと思っています。
相手を論破して、自分が勝った。
でも相手は納得していない。
その結果、物事が前に進まない。
それなら何の意味があるのか。
逆に、
まず相手の話を聞く。
相手の重要感を尊重する。
相手自身が納得できる形で、こちらが望む方向に一緒に進む。
その方が、仕事としてはずっと強い。
場合によっては、相手が
「自分が勝った」
と思っていてもいいと思っています。
こちらの目的がきちんと達成されているのであれば、それでいい。
若い頃の僕は、自分のプライドにこだわっていた部分があったと思います。
今は、
自分のプライドにこだわるのか、それとも仕事の目的にこだわるのか
と考えるようになりました。
もし後者なのであれば、人との関わり方はかなり変わります。
「相手の話を聞く」は、思っている以上に難しい
言葉だけなら簡単です。
「人の話を聞きましょう」
そんなことは誰でも知っています。
でも実際には難しい。
相手が話している最中に、
「いや、それは違う」
「でも、こうだろう」
と、自分の答えを準備してしまうからです。
僕もそうでした。
だから僕は、意識して相手の話を聞くようになりました。
共感する。
相手の言葉を繰り返す。
「こういうことですか?」
と確認する。
それから自分の話をする。
この順番を意識するようになってから、人との関係はかなり変わったと思っています。
仕事だけではありません。
友人関係でも、普段の生活でも同じです。
人は、自分のことを理解してくれた相手の話の方が聞きやすい。
当たり前のようですが、実際にやるとかなり違います。
ただし、誰にでも通用する魔法ではない
一方で、この本に書いてあることが、すべての人に必ず通用するとは思っていません。
ある程度、
前向きで、
建設的で、
人として最低限話が通じる。
そういう人たちの中で、特に効果を発揮する考え方だと思っています。
世の中には、どうしても話が通じない人もいます。
だから『人を動かす』を読めば、すべての人間関係が解決する。
そんな話ではありません。
それでも、普通に社会の中で仕事をして、人と関わっていくのであれば、この本に書かれている考え方を知っているかどうかはかなり大きいと思っています。
若くて「あるべき論」で苦しんでいる人に読んでほしい
特におすすめしたいのは、
若くて、
自分なりの正解があって、
でも周囲をなかなか巻き込めずに悩んでいる人です。
「こうあるべきだ」
「普通はこうだ」
「正しいのはこっちだ」
僕もそういう考え方をかなり持っていました。
もちろん、正しさは大事です。
でも、仕事は一人ではできません。
人を巻き込み、
協力してもらい、
物事を前に進める必要があります。
そのときに必要なのは、
正しい答えを持っていることだけではありません。
人がどう感じるかを理解すること。
相手の重要感を尊重すること。
相手が自分で納得して動ける状態を作ること。
そういう力も必要です。
『人を動かす』は、仕事の本であり、生き方の本でもある
僕はこの本を、単なるコミュニケーション術の本だとは思っていません。
どうやったら人を言うことを聞かせられるか。
そういう小手先のテクニックの本でもない。
むしろ、
自分以外の人間をどう扱うべきか
を考える本だと思っています。
自分が重要であるように、相手にとっても相手自身が重要です。
そこを無視して、自分の正しさだけをぶつけても、人はなかなか動かない。
この当たり前のことを、僕はこの本からかなり学びました。
10年以上前に読んだ本ですが、今でも仕事をしていて思い出すことがあります。
買って損はないと思う
世の中には、読んだ瞬間は面白くても、数年経つとほとんど覚えていない本もあります。
『人を動かす』は、僕にとってそうではありませんでした。
読んだ後の人との関わり方そのものが変わった。
それくらい影響を受けた本です。
特に、
仕事で人を巻き込みたい。
正しいことを言っているのに人が動かない。
人との対立で疲れている。
そういう人には、一度読んでみてほしいと思います。
全部をそのまま信じる必要はありません。
でも、一つでも
「自分はここを変えた方がいいな」
と思えるものがあれば、それだけでも読む価値はあると思います。
僕は買って損はない本だと思っています。
この記事が参考になったら
紹介した商品
D・カーネギー『人を動かす』改訂文庫版
人との接し方を考え直したいときに読み返している一冊。仕事でも日常でも使える考え方が多い。
筆者使用モデル
Amazonのアソシエイトとして、瀬名コサトのけっこういい人生は適格販売により収入を得ています。

